憧れの終に

 見知っていた。
 目の端でいつも追っていた。

 気付きは唐突に。
 気付いてしまえば、より鮮明に。

 色づく表情。
 焼き付いた仕草。
 残響し続ける声音。

 もどかしい。
 自身を占有するその全てが、掻き抱くには余りあるその全てが。

 而して、やはり気付いていた。
 目に映るのはただの一部で。
 それすらも歪曲して自身に当てはめていた事。

 憧憬に浸した想いは遙か。
 芽吹きを夢見た希望は彼方。

 終を見た時。
 去来する感情は凪いだ海に浮かぶ。
 何事も無かったかのように、小さな波紋を残して。
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