失折から一歩

 時を跳ねる。
 どれだけの想いを焼べてきたのだろう。
 憧憬、尊敬、情愛、情熱。
 どの想いも平等に。

 挫かれた事は数多。
 傾いだ心は行き場を失い、行方を知らせずに霧散する事など数えていられない。

 しかし都度、思想の構築に耽る。
 自身を動かした物は何であったのか、自身が得るに至った場合はどうなることだったのか。
 反省のように見える皮算用。
 皮肉が己を失笑に至らしめる。

 そして無力を受領し、その終焉を演じる。
 道化じみた振る舞いも、泣き濡れて浸る感傷も、全て演じきる。

 幕が下りる。
 役目を終えた演者は次を臨むことなく消え去る。
 孤高に咽ぶ声と共に。

 全ての終わりには稚拙な闇が包み込む。
 穴だらけのそれは光を漏らし、乱反射させながら闇であると主張する。

 それは希望になる。
 一頻りの絶望を置き去りにして、その光へと目を向ける。

 それは夢となる。
 望み描く姿を真として、その光へと手を伸ばす。

 そうしてまた、歩き出す。
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