しょうかん

 巡り来る歳始は寒の入りを示す。

 荒風が凍えるように空を揺らす。
 千鳥足の雪の精が高笑いをする。
 地に沈んだ雪の白色は、舞い上がって銀に輝く。

 見上げた空は淡青色。
 果てしなく遠く、それでも差し出せばその手を浸食する程に近い。

 斜から自己主張する陽光は目映く、世界を細狭くさせる。
 灼熱のそれは鳴りを潜め、届く暖気は薄弱に映る。

 燻らせた吐息は散り遊ぶ結晶に混じる。
 滲み広がる銀模様は、煌びやかに無色へと溶ける。
 
 一陣。
 吹雪いた風は厳しさを教える。
 まだ至るに及ばず、苛烈になる事を告げる。

 寒の小さきは季節の便り。
 次に待つ、極大に広がる厳寒を知らせよう。

 巡り来る歳始は寒の入りを示した。
 鳴いた鐘の音は、暫しの堅忍を嘯いた。
Topへ戻る inserted by FC2 system