とうじ

 白流れる無数の細工。
 稜線を浸食する夕光りに照らされて、朱銀の飛礫となる。

 一面に塗布された朱銀の絨毯。
 連遠と舞い降りる飛礫は降り立ち、静かに沈み込む。
 その無秩序は、漣となって濃淡を見せびらかす。

 やがて橙色の光明は稜線に呑み込まれ、紺白んだ空に光細工が放たれる。
 無数の小光はひしめき合い、その存在を主張する。

 それも僅か。
 陽光の没落に、空が配色置換に応じる。

 漆黒の宴。
 饗するは闇夜に相対する白色無数の飴玉に、それを乗せる小さな氷柱の束。
 終わりのない結晶の飴玉は、今ある時季を諳んずる。

 ここにきて、時季が夜の至りを悟る。
 暗夜の永きを受け入れて、明昼の短小を偲ぶ。

 而して、至れば返すは必定。
 何れ衰えゆく暗夜も、此れから盛りゆく明昼も。
 昼夜は等しく慈しまれる。

 今宵は未だその終端を見せない。
 静かに迎えた冬の至りは、自身の頂きを知ることはあるのか。
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